NO.5
書  名 生き残りのディーリング
(投資で生活したい人への100のアドバイス)
著者/訳者矢口 新
発行所 パンローリング
価  格2,800円
 
 
 

「生き残りのディーリング」からの抜粋


 


(市場価格)

  市場は常に正しいとも言われます。確かにあるがままの状態を受け入れることは大切です。しかし市場価格にも、原因があるから結果があるのです。あるがままを正しいからと受け入れるだけでは、次の動きが読めません。もっとも私は、市場価格はほとんどの場合、歪んでいると見ています。相場は常に行き過ぎ、行過ぎては戻り、今度は戻り過ぎてしまうものなのです。したがって、より正確には、市場は正しいものを求めて、右往左往しているといえます。



(相場のことは相場に聞け)

  相場のことは相場に聞けとは、現実を直視しろということなのです。現実を受け入れて対策を練ることによって相場の方向が見え、何をなすべきかがわかるということです。相場と歩調を合せるように努めましょう。自分が相場と一体となったイメージを持ち、そこから何が見えるかを考えるようにします。自分の升で相場を計ってはなりません。



(節目)

  節目では、ぜひ動くようにしてください。たとえ小さく思えた節目であっても、相場の方が手掛かりを与えてくれていると解釈し、何らかの手を打っておくことが望まれます。
  買ったあとに上昇した相場が前の高値などの節目に到達したなら、とりあえず一部だけでも利食っておきます。そこで反転したなら残りを利食い、抜けたならもう一度買い直します。節目で一部だけでも利食うことによって、次の手が機動的に繰り出せるようになるのです。



(価格の波動)

  価格は波動をもって動きますから、トレンドに沿った売り買いが、必ずしも安全だとはいえません。方向が合っていてもささやかな揺り戻しによって、ストップアウト(損切り)させられることなどは、日常茶飯事です。また、トレンドに逆らった売買が、必ずしもより危険だというわけでもありません。リスクの大きさは流動性に問題がないとすれば、損切りオーダーの値幅に置き換えられます。つまり、大底が抜けてやられても五十銭。上げ相場でのたった五、六十銭の揺り戻しにやられても五十銭。同じリスクなのです。




(勝負どころ)

  経済のファンダメンタルズから大きく乖離してしまった相場が、ファンダメンタルズに鞘寄せを始めるときが、勝負どころです。ここでは使える資金の全額を注ぎ込んでよいでしょう。三分の一、あるいは半額しか注ぎ込んでいなかったなら、買い乗せ、売り乗せで攻め続けるのです。利食いの際は、手仕舞うというより、回転を利かせるために、三分の一、場合によっては三分の二だけを閉じます。そして再び買い乗せ、売り乗せで攻めるのです。



(リスクとは避けるものではなく管理するもの)

  リスクとは避けるものではなく、管理するものです。自分の取りやすいリスクに絞り込んでください。リスクのないものは存在しません。見えたリスクは対処しやすいので、質が良いリスクだといえます。



(Always long on the top )

  一般に私たちは高値買い、底値売りを恐れるものですが、あえてそれに挑戦していくのが、Always long on the top です。それは案の定、高値買いや安値売りだったときにも、すぐに損切れるという自信があってこそできるのです。



(相場への出入り)

  相場への出入りは、たとえると、高速道路へ側道から出入りするのに似ています。自分のスペードが相場の流れに合っていないと、怖くてなかなか入れないものです。しかし一度流れに乗ってしまえば、車線変更も自由自在です。自分が相場と同じ速度で走っていないと流れがよく見えないのです。



(Buy the rumor Sell the news)

  相場は期待を買って(売って)います。期待が実現、あるいは消滅したときは一種の空白感が市場を支配します。達成感ともいいます。そのときディーラーは本能的にポジションを閉じ、次の行動に備えます。そしてそのニュースの相場に与える影響、すなわちそのニュースが相場にどんな新しい期待を抱かせてくれるのかを判断したうえで、次の行動に出るのです。
  Buy the rumorとは夢を買えということ、Sell the newsとはその実現、あるいは消滅を売れということです。



(日計りディーラー的な視野)

  ニュースらしきものが出たとも思えないのに、価格が妙な動きを始めた。そのとき、すぐに反応する。わけもわからずに、とりあえずポジションを手仕舞う。また、ニュースが出ても価格に何らかの兆候が出るまでは反応しない。価格に対する感応度を高め、ひたすら価格の動きのみを信じる。それが日計りディーラー的な視野であり、相場の基本なのです。



(高値波乱)

  高値波乱は受けてみましょう。落ち始める前の高値、最初の急落時の安値を手掛かりに、そのレベルに若干余裕の幅を持たせて、上がってくれば売り、下がれば買いと繰り返します。波乱と呼ばれるだけあって、けっこう値幅が取れるものです。




(リスク管理)

  私は、リスク面を徹底的に管理することによって収益を計上できる、という考えを基礎としています。リスク管理が非常に困難だと判断した場合には、結果的に収益機会を放棄することもありえます。




(効率的売買)

  一回で抜く五円よりも、片道一円往復二円を八回繰り返す方がはるかに効率的だということがわかります。そしていよいよレンジが抜けてやられたとき、損切りと同時にポジジョンを入れ替えて倍返しをし、順張りで残りの相場を取にいくのです。


 

(戻り売りに戻りなし)

  売り物を全部こなして上に抜けるようだと、もう一段の上げが期待できますが、最初の押し目の安値を大きく割り込むようだと、見切り時です。そんなときはもう一段の下げなどという生やさしいものではすまないでしょう。本格的な調整、または、下降トレンド入りといえます。何らかの理由で上がればたたく、戻り売りの出番です。この場合も、人が戻り売りを言い出したなら、機先を制して建値をたたくのがよいでしょう。
  戻り売りに戻りなし、とも言うのです。



(買い乗せのタイミング−1)

  買い乗せのタイミングは、抵抗線を抜いていくときです。普通、抵抗線の近辺では反落の兆しがあるものなのですが、ここでの利食いを慎重にこらえ、抜けたと見るや買い乗せで勝負に出るのです。下げ相場では支持線を破るときが、売り乗せのタイミングとなります。



(買い乗せのタイミングー2)

  さらに、小刻みな買い乗せなども、アベレージコスト的には意味がありません。ある程度利益が乗っての買い乗せは、現実的には二回が限度でしょう。何度もチャンスがあると思う心にも、スキができるものです。また、せっかくの利益を吹き飛ばさないために、最後の買いのコストを全ポジションのコストだと見なして、下げ始めたなら全部閉じるようにしてください。



(損切り−1)

 買ったものが値下がりしたということは、自分の判断のあやまちを、相場が教えてくれたのです。人間だれしもあやまちを犯すものです。ましてや相場は未来を読む仕事。当たり続ける人などいるはずがありません。大切なのは、その後の態度です。ここは謙虚にあやまちを認め、一度損切って出直すべきところです。彼のやるべきことは、第三の選択。売りしかありません。



(損切り−2)

  評価損は、実現損よりも性質が悪いのです。実現損は過去の損ですが、評価損は生きています。これからどこまでも成長する可能性を秘めているのです。
また、損を切れないことを正当化するための相場観が用意されます。そうでもしないと、自己矛盾に至るからです。



(損切り−3)

  損は出るもの。そして、損は切るものです。
損切りとは、儲けるためのコストです。
損切りを早く、こまめに行ってコストを下げる。切った損は、それ以上には膨らみません。十回買えば、うち五回は上昇します。勝負はそこでするのです。



(利食い)

  利食いは、限定してはなりません。損切り幅の二倍の利食いというのは、あくまで最低限の目安であって、それ以上取ることが必要なのは前の例からも明らかです。利食えるからと、千人力を発揮している場合ではないのです。利食いは基本的に、反転の兆しが見えるまで引っ張るべきです。どこまでやられるかわからないから、損切りオーダーを入れるのと同様の発想で、どれだけ儲かるかわからないのに、利益を限定してしまうことはないのです。



(見切り)

  「本降りになって出ていく雨宿り」。
この有名な川柳は、見切りの大切さと、難しさを言いえていて、味わい深いものがあります。初めは通り雨かと思ったのです。すぐに止むと思ったから雨宿りしたのです。ところが雨は本降りとなり、止む気配もありません。仕方なく、どしゃぶりのなかに飛び出していくという図でしょう。



(理性と感性)

  私が折りにふれ、考えを文章にするのは、理論を構築していくためです。感性でひらめいた考えは、頭の中だけでは堂々巡りを始め、まとまりません。まとまらないのが感性で、まとめようとするのが理性でしょう。
 理論は段階的に構築していくので、ものごとを説明したり、理解するには便利なものです。とはいえ実践の場で起こる、さまざまな予測不可能な事態に対処するには、時間がかかり過ぎて、あまり役に立ちません。実践の場では、理性の悠長さや几帳面さを許さないといえます。実践には、感性の助けがいるのです。



(感性の鍛え方)

  本能は持って生まれたものではありますが、訓練によって鍛えることができます。後天的に理論や学習によって得たものも、訓練によって意識下に眠らせておくことができるのです。そうしておくと今度は実践の場で、より磨かれた感性として瞬時に表れるのです。



(シミュレーションと実践)

  ゲームセンターのスクリーン上でF1マシンを操るのと、実際に運転するのとの一番の大きな違いは恐怖感でしょう。ハンドル操作を誤れば死につながる状態で運転するのと、何度クラッシュしても百円玉の続く限り生きていられるのとでは、はなから立場が違うのです。ゲームセンターで得た技術を実際の運転に役立てることができるのは、すでに実際の運転を知る人に違いありません。理論もシミュレーションも、実践を伴って初めて意味を持ちます。
 ポジションを持ったとたんに世界が変わります。どんな人でも、ポジションに思い入れを持ちます。加えて損益のプレッシャーも、ポジションの大きさ、目標の大きさに順じてかかってきます。
 一歩踏み出すこと。たった一歩先に、頭で考えていたのとは、別の世界が開けています。



(三勝七敗のディーリング)

  右か左かは五分五分なのだと前提して、私は三勝七敗のディーリングを目指していました。なぜ負けの方が多いのでしょうか。七敗のうち、買って下がったら、すぐ損切っての五敗です。あとの二敗は買って上がったのにもかかわらず、利食いに失敗しての二敗です。
 利食えるときに利食わないで、結局損を出す。まるでバカのようですが、それほど利食いとは難しいものなのです。バカと言われようが、爪の伸ばし過ぎと言われようが、利食いをできるだけ引き延ばそうとすると、五回のうち二回くらいは失敗するものです。その代り、残りの三勝が大きいのです。一勝でほかの九敗をカバーすることだって、まれではありません。



(自分が管理できるリスク)

  リスクをうまく取るためには、リスクの存在を明らかにして単純化させることです。リターンに見合っただけのリスクは必ずあるのですから、わかりやすい、自分が管理できるリスクに絞り込んで、積極的に取にいくべきです。
 最も怖いリスクとは、姿の見えないリスクなのです。



(損切りオーダーは命綱)

  生き残っているプロは、決して命綱を忘れていません。ここでいう命綱とは、損切りオーダーです。自信の強弱とは関係がありません。綱渡りの最中に突風が吹いたらどうするのでしょう。綱が切れたらどうするのでしょう。羽のない人間ならば、命綱をつけることをためらうべきではないのです。



(資金管理が生き残りの条件)

  負けが込んでいるときの対処には、金額を減らすことでコストを下げるしかないのです。コストが半分になれば、生き残れるチャンスが二倍になります。三分の一になれば三倍になります。このように、わきを固く締めて逆風の時を食いつなぎ、機の熟すのを待つのです。



(相場を楽しむ)

  心を開放するのです。勢いがあるとき、人は強いものです。楽観こそが、力に前向きの勢いを与えるのです。情熱を持ってしっかりと前を向いていたなら、それだけで失うものはありません。そして、どんなに厳しいと思われる状況下でも、自分を見失わずに、だれにも恥じない取引をするためにも、もっと遊び心を持ってください。極限の状態にいると思われるとき、さらに必要な心の余裕です。スポーツと同じです。肩に力が入っていては、良い結果を生み出さないのです。
  個人投資家もプロも、相場を楽しんでください。相場の世界では、ちっぽけな自分でさえ、権威や権力と同じような立場で戦えます。合理性を武器にして、見方が正しければ勝てるのです。ケセラセラ、なるようになる。先が見通せないから、相場も人生も刺激的なのです。 




※ ( )内タイトルは勝手につけました。

 

 
 
 
鉄 太 郎 の ナ ル ホ ド と 納 得
 


  3勝7敗のトレード成績でもリスクマネジメント、マネーマネジメントが適切であれば継続的に勝つことは可能である。

  ★1回の取引で投資額の1%以上のリスクはとらない。
  ★単価が1%逆に動いたときは損切りを行う。
  ★損失が投資額の1割を超えたときは、ゲームエンドとする。
  ★利益が伸びたときは、損切りポイントを上に移動させる。