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「人生と財産」からの抜粋 |
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【序文抜粋】 今ここに、長い過去をかえりみて、世の中には、あまりにも多く虚偽と欺瞞と御体裁が充ち満ちているのに驚かされる。私とてもまたその世界に生きてきた偽善生活者の一人で、今さらながら慙愧の感が深い。しかし、人間も八十五年の甲羅を経たとなると、そうそううそいつわりの世の中に同調ばかりもしていられない。偽善ないし偽悪の面をかなぐりすてて、真実を語り、「本当のハナシ」を話さなければならない。これが世のため、人のためでもあり、またわれわれ老人相応の役目でもあると考える。
そこでまずある株を買おうとすると、いつもその全部の買受金を用意してかかった。もっとも買付けは取引が容易な点から常に先物を選んだ。――いかに値下りをしても、全部の買受金が用意してあるからビクともしない――そうして、それが引取り期限の来る前に思いがけぬ値上りがあった場合は、買値の二割益というところで、キッパリ利喰い転売してしまった。それ以上はけっして欲を出さない。そうして二割の益金を元に加えて銀行定期に預け直した。
話のついでに、今までに一番うまくいったと思う株式投資を御披露に及んでおくと、大震災直後のことであるが、すべての株が暴落し、なかんずく東京電燈などは十円近くまで下った。私はこれはあまりに悲観されすぎていると考え、今買っておけば必ず元に戻ると確信した。そこで十二円五十銭から買い始め、資金の有るかぎり四十五円まで買い進めた。 本多流の致富奥義は、しごく平凡だ。誰にもやれる。また誰にもやってもらいたいと思う。 第一に、常に、収入の四分の一を天引き貯金すること。
そこで私は、部下の人々に仕事を頼む場合、それがどんな些細なことでも、一々、正しい名前をハッキリ呼んで、いつもねんごろにいいつけるようにしてきた。またその仕事の内容についてもよく吟味をして、頼まれたものに、何だいこんなことといわれないようにつとめてきた。
すなわち、部下の者が、何か用あり気にドアを押してきたり、自席に近づいてきた時などには、できれば直ちに自分の仕事を中断し、二、三歩の前からその顔をみ、その足元を見守って、ニコやかにその用件を聴き取る態勢をととのえて、「さアなんなりと」といった気持を目顔で知らせるぐらいにしなければならぬ。
ところで、部下の心を自分につなぐことは、何かの頼まれ事や約束を、忘れずに必ず実行することなど最も有力な手だ。私はこのために手帳を用意して一々こくめいにメモを取っておいたのだが、頼んでいた方で忘れているような些細なことでも、このメモのおかげでこちらは忘れずに必ず実現したので、「うちのオヤジはこんなことまで覚えていてくれるか」と、馬鹿に評判をよくしたものである。これが、再三念をおされて、最後に「やあ忘れていた」ということになっては、仕事の上の権威も、信頼も、とんだ所でマイナスにされてしまうところだった。 (快活な心を持つためには) ここで、大いに注意すべきことは、遠慮や、負け惜しみ、きまりがわるいとか、億劫だとかということが、心を快活にもち続けるうえに、大禁物だということである。何事も無邪気に、気取らず、てらわず、正直に、知らないこと、迷うことは、すべて素直に問うべき人に問うようにしたい。これが常に向上の基となり、安心の礎となって、何をやるにもテキパキと働きえて、快活な心はいよいよ快活なものとなるのである。
(本多静六の人生計画) 実際、いかなる不運、不幸も、不景気も、けっしてそれが永久的に続くものではない。時計の振子のごとく、また波の起伏のごとく、やがては元に戻るものである。時が来れば必ず元へ盛り返すものである。したがって、我々順調の時、好都合の時、得意の時には、一刻の猶予をおかず、大いに活動し、大いに伸びるべきである。そのかわり、逆境の時、思うにまかせぬ時、失意の時にはよく耐え、よく忍び、鳴りを静めて雌伏すべきである。また雌伏を幸い修養の工夫をし、知識を養い、英気を加えて、じっと時節の到来を待たなければならぬ。
※ ( )内タイトルは勝手につけました。
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| 鉄 太 郎 の ナ ル ホ ド と 納 得 |
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